Stranger in Wonderland

バルト9で映画『レ・ミゼラブル』を観た。
最初に東宝ミュージカルでレ・ミゼラブルを観たのは高校生のときだったかなあ。何度も観たし、原作も読んだし、CDも買って一緒に歌ってたし、そんなだったのでこの映画はとても楽しみにしていたのです。

舞台版のプロデューサーであるキャメロン・マッキントッシュが製作スタッフなだけあって、あのミュージカルを忠実に映画化していたし、キャスティングも完璧だった!しかもこれ、演技しながらの生歌なんだって。吹き替えでも別テイクでもなく!すごく強く感情の動きが伝わってきて、ほとんどずっと泣いてた。観終わってしばらく放心状態だった。
よかったところいっぱいありすぎて書ききれないけど、いま思いつくことを書いておく。

オープニングからもう、あぁあああぁぁレミゼだあああレミゼの音楽だあああ〜〜〜っていうだけでも鳥肌だったし、囚人たちが波をざっぱーんてかぶりながら船を曳く映像がすごくて、全身の毛穴が開いた。

アン・ハサウェイのフォンティーヌ、”I dreamed a dream” は鬼気迫るっていうくらいのすさまじい迫力だった。リトルコゼットがミュージカル版のポスターとかのビジュアル通りなのもすごい。

ヒュー・ジャックマンのジャン・バルジャン、演技も歌もすごくて司教様のシーンから心わしづかみにされた。いちばん好きだったのはリトルコゼットを引き取って馬車の中で歌うシーン。自分をすっかり信頼して「わたしのパパになって」って笑顔を向けてくれる小さな存在がどれだけ彼の心をあたためてくれることか!ああ、これが幸せなんだ…こんなに早く自分にも幸せがくるなんて。自分は正しい行いをしているって思ってる時にも、常に後ろめたさを抱えていなければならなかった彼が、最期に「ああ、自分は赦された」って思えたきっかけはマリウスだったんだなあ。ジャベールは彼にとって陰と陽、鏡みたいな存在だし、コゼットは目の中に入れても痛くない自分と離して考えることのできない存在だし、マリウスがはじめての完全な他人だったからなのかなあ。

ラッセル・クロウのジャベール、の葛藤にすごく心を打たれた。徒刑場生まれで両親ともに服役囚っていうの今まで知らなかったよ!その反動であんなに潔癖なまで法に忠誠を誓って、脱獄したジャン・バルジャンに執着するのか……。セーヌ川に身投げするところも、心から腑に落ちた。バリケードで助けられたときに静かに打ちのめされていて、それが潜伏してじわじわと蝕まれるように自分がずっと信じて拠り所にしてきたものが揺らいで迷いの中にいて、下水道から出てきたマリウス抱えたジャン・バルジャンに会ったときにはもう、決定的になってしまったんだろうなあ。
冒頭の「俺が正義だ!(ドーン!」みたいなシーンで塀の上のふちぎりぎりのところ歩いてて怖いなーって思ったんだけど、最後のセーヌの橋の欄干との対比が、もう、憎いです。

革命を夢見る学生たち。アンジョルラスは猪突猛進の暴走熱血イケメンっぷり(あとあの死に方…舞台とほぼ一緒!)がよかったし、マリウスのぼんぼんらしさ、夢見がちでちょっと気弱っぽいところもよかったし、ガブローシュの小生意気で背伸びしたいさかりのやんちゃ坊主なところもかわいすぎて、ああもう本当に素晴らしいキャスティング!

“On my own” はいうまでもなく、マリウスとコゼットがラブラブで悦びを歌う傍らでひっそりと孤独に歌うエポニーヌ。もうだめ、泣きっぱなし。サマンサ・バークスって舞台版にも出演してたのね。島田歌穂と顔の系統が一緒よね。群衆の中でも一目見てエポニーヌってわかったもの。

マダム・テナルディエがヘレナ・ボナム=カーターっていうのがハマりすぎで素晴らしい。この人しか居ないよね。サシャ・バロン・コーエンとのコンビ、ろくでもない小悪党っぷりはこの映画で唯一クスッとできる部分だったなー。

はやくDVDで、歌いながらおうちで観たい。
ぜいたくをいうならばフランス語でも観たい。あと、同じトム・フーパー監督の『英国王のスピーチ』も観たい。

キャメロン・マッキントッシュのインタビューがあったから貼っておきます。
「レ・ミゼラブル」仕掛け人の”感動の極意” | 東洋経済ONLINE




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Yuko Honda Morita (yukop) : yukop.com
飯能→東京→シリコンバレー。夫と猫2匹と暮らしてます。作ったり学んだり踊ったりするのが好き。
Born in Japan, living in California with my husband and two cats. "A bit of a geek and a bit of a geek fan and a bit of an artist." ->

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