Stranger in Wonderland

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“How to train your dragon”というDreamworksのCGアニメーション映画を観た。 ひとことで言うと、「ドラゴンに乗って空を飛ぶ気持ちよさ」を追求した映画だった。設定はベタだしストーリーはおおざっぱなファンタジー、細かい心理描写とかぜんぜんなくて人々はあっさり味方になってくれちゃう。主人公の仲間たちのキャラもいまいちよくわからないまま。でもそんなことはおいといて。とにかく飛行シーンが最重要点で、そこに至るまでの主人公とドラゴンの絆を深める過程に邪魔者は入れない(邪魔が入るのは絆が深まってから)、という潔さ。アニメーションはほんと素晴らしかった。特に、高速で飛んでるドラゴンの羽がバタバタとたなびく様子がすごくよかった。ああ!これわかる!飛んだことないけど!監督のディーン・デュボアとクリス・サンダースは宮崎駿の大ファンで、飛行シーンは『紅の豚』『魔女の宅急便』を参考にしているらしい。シネマトゥディ 監督インタビューで言ってた。

映画のタイトルからも想像できる通りたくさんの種類のドラゴンが出てきて、その中でも主人公の相棒となるToothlessというドラゴン(Night Furyという種類)の造形がとても可愛い。真っ黒な体に、金色の瞳。平たい頭蓋骨。他の間抜け顔ドラゴンたちの中で、ひとりだけ妙に可愛い。しかもお話が進むにつれ明らかになるその生態はまるで猫のよう。黒猫っぽい!うちの胡麻みたい!と猫バカ全開で見てしまった。

監督のインタビュー(IndieLondon)キャラクターデザイナーのインタビューをそれぞれを読むと、他のドラゴンたちが爬虫類っぽくデザインされているのに対し、Toothlessは哺乳類っぽくしたかったらしい(人々に恐れられている存在であると同時に、親しみやすさも感じさせられるように)。ハイエナや狼、黒豹などを参考にしつつ、耳の処理はウーパールーパーのエラに着想を得て、体のフォルムは小さいころ捕まえたアカハライモリをベースにしているらしい。で、監督が言うには、猫派のアニメーターが飼ってる猫をつぶさに観察した結果が反映され、それに犬っぽかったり馬っぽい仕草も、意図的に入れてるんだって。ああ、たしかに犬っぽいのも馬っぽいのもわかる。

それにしても人々が全く葛藤しない潔さはすごい。「あーあ、これきっと告げ口されるとか邪魔されるとかで大変なことになるんだ」ってところでも邪魔されない。すごい。先月観たばかりの”Big Hero 6”はストーリーも人物の描写も緻密だったのでどうしても比べてしまう。でも、観終わったあとにはなぜか満足感があった。一緒に観た8ちゃんとあれがこうだったねー、ああだったねー、といろいろ話して言いたい放題言ったけど、やっぱり、よい映画だったのだと思う。

一週間後には続編の“How to train your dragon 2”を観た。また別の悪役が出てきてやっつける、しかも軍隊とか出てきてずいぶん派手になっている。そしてまたもやおおざっぱなストーリーかついろいろ強引な展開なのだけど、ここでもまた心理描写が大幅にすっ飛ばされている。いやいやいやそんな衝撃的な事実をいまさら知らされて素直に和解とかできないよね、え、みんなそれでいいの?あれ、丸く収まってるよ?というのが最初の方にあり、そのあとの親子の一大事は比較的ていねいに描かれていたように思うけど(それでもあっさりだけど)、いろいろあってToothelssが敵にさらわれてしまうところで2部終了、3に続く。ほほーここで終わるかー。と思いきや、まだ続いたし、結局すごい駆け足で解決してしまった。仲間たちのキャラは2でようやく区別できるようになった。Toothlessのしっぽは生えてこないのか、爬虫類なのに。1に引き続き宮崎駿愛に溢れていて、もののけ姫、ナウシカ、ラピュタの要素も入っていたように思うよ(あと、悪役はワンピースに出てきそうだった)。

3作目が2018年公開予定らしい。だいぶ先だけどたのしみ。劇場で3Dで観たいなあ。

写真の粘土細工は、手持ちの粘土が足りなくて顔しか作れなかったToothlessとHiccup。

Trail head

月例イベントとしてすっかり定着したハイキング。だいたいいつも Midpeninsula Regional Open Space DistrictBay Area Hiker、あとはトレイルヘッドの看板のところからもらってきた紙の地図を参考にして行き先を決めている。今回は、よく名前を聞くRancho San Antonioに行ってみようかと思っていたけど”Some shade but mostly exposed.”と書いてある。うーん。日向よりも木陰の道が好きなんだよなあ。しかも今日はけっこう暑くなりそうだし。というわけで紙の地図で見てもう少し山奥の、Monte Bello Open Space Preserve へに行くことにした。

駐車場まで行ってみると、以前トイレを求めて寄ったことのある場所だった。山の斜面と向こうの山が見渡せるExposedな道からはじまり、Canyon Trail に合流して森の中へ。鳥の声がすると立ち止まって姿を探したり、見たことのない花の写真を撮ったりしながらのんびり行く。沼があったはずの場所には枯れ野原があった。

Forest pathDrought

途中で左に折れて Indian Creek Trail に入る。ここは地図で見ると等高線を何本もまたいでゆく急な上り坂。息が切れる。Douglas Fir に癒やされる。枝の先から黄緑色の新芽が出ていて可愛い。ああ、針葉樹の森が好きだよー。森はすぐに終わり、日差しの照りつける乾いた道が続く。頂上へ近づいていく坂道がとくにつらい。しかもおなかもすいている。はやくお弁当食べたい……という一心でがんばった。

DouglasFirsPinecone

歩いている人よりも、マウンテンバイカーとトレイルランナーのほうが多い。眺めも良いし道もでこぼこしていないので、バイクとかランにはうってつけなのかもね。わたしは、歩くにはもうちょっと木の根っことかごつごつしてる森の中が好きだわ。

LunchWindows XP

木陰の丸太椅子でランチタイム。やっぱり銃声が聞こえないほうがのどかで良い。Windows XP の壁紙みたいな景色を眺めながら十穀米鮭おにぎりを食べる(十穀米の存在をすっかり忘れていたし米は Google Express で買っていたのだけど、先日巨大中華スーパーで米を買おうとしたときに目について、思い出した。十穀米を好きだったことを。そして買った。おいしい)。

お弁当ですっかり元気になり、0.4マイル先の Black Mountain 頂上を目指す。Black Mountain という名前からは鬱蒼と茂ったおどろおどろしい印象があるけど、開けっぴろげでお日様をたくさん浴びる山だった。木が生えてなくて緑色じゃないから black とか…?でも草は生えてるし、岩は頂上に少しあるだけ。どういう由来なのかしら。

Top

頂上で見た蝶は黒と白とオレンジで、Monarch かと思ったら模様が少し違う。あとから調べたら California sister butterfly だった。岩のごつごつしたところには何らかの lizard がいた。写真を撮れなかったので名前を特定できず。帰り道のわきにあった杭のところにも別の黒い lizard がいた。この子も写真撮れなかった。行きも帰りも、Western Scrub-Jay を何度も見かけた。アメリカカケスのサミー。この青い鳥はもうすっかりおなじみなので、木から木へ飛んでゆく姿をみただけでも識別できるようになった。鳴き声も jaaay, jaaay なのでわかりやすい。

Butterfly

帰り道はずっと開けた道だった。California Poppy、Lupinus bicolor、Indian Paintbrushらしきもの、それに、つくしも生えてた!春はいろいろ咲いていてたのしいね。

California PoppyLupinus bicolor
Indian PaintbrushTsukushi

今日歩いたコースは 5.2 mile (8.4 km)、3時間15分くらい。来月は木陰を歩きたい!

Course

山道の運転にもだいぶ慣れてきたけど、自転車を追い抜かすときはやっぱり緊張する。うしろの車にぴったり付かれるのも、プレッシャーを感じてしまい、嫌なものだ。道幅が狭く見通しも悪いので、追い抜かしてもらおうにも、道がしばらくの間まっすぐになるか路肩に広いスペースがあるところまで待たなくてはいけない。この状況をポジティブに捉える方法はないものか。ドラクエで仲間を増やすみたいに、後ろをついてくる台数をどこまで増やせるかに挑戦するとか。などと話しているうちに35号線沿いの小さな駐車場に着いた。Long Ridge Open Space Preserve は、以前ガイドの人たちと歩いた Skyline Ridge より少し南寄りにあって、我が家からは車で約45分かかる。車を停め、インフォメーション看板に設置された紙の地図をもらう。本日のハイキング、スタート。

TrailheadForest path

トレイルヘッドからしばらくは開けた斜面沿いの道を行き、すぐにダグラスファーとライブオークの森へ入っていく。分岐点から右に折れて Long Ridge Trail に入るとかなり急な斜面が続いて息が切れる。

先月までは目につかなかった白い小さい花がたくさん咲いている。花弁が4枚あるのは California Milk Maids というらしい。白いすみれのようなのは Western heart’s ease。ダグファーの松ぼっくりの吹き溜まりは、王蟲の群れみたいに見える。道は、木陰をしばらく進むと急に開けて見晴らしがよくなり、また木陰に入っていく、というチョコレートと塩せんべい的な楽しみがある。自転車もOKのトレイルなのでマウンテンバイカーとよくすれ違う。挨拶は Hi, Howdy, Thank you, Two behind me, など。

MilkmaidsDouglas Fir

コースの半分くらい行ったあたりに眺めの良いベンチ(Wallace Stegner memorial bench)があったけど先客がいた。先客カップルは絶景を前に夫婦喧嘩をしていて “You’re a liar!” とか言ってるのが聞こえてくる。我々は景色を背景にジャンプ写真を撮ったりして、それからそっと離れて木陰にシートを敷いてお昼にする。おにぎりとグリルチキンとブロッコリー。いつも同じメニューだけど、山で食べると格別においしい。

Jump

鳥の鳴き声は聴こえていたけど姿はほとんど見なかった。駐車場につく前に、場所の確認のために停めたいくつか手前の駐車スペースでは野生の七面鳥を見た(そういえば事前に見たコースガイドにも書いてあった)。 お昼を食べた場所の近くでは鹿に出会った。鹿、いるんだなー。鳥やリスは家に来るし、ウサギはG社の裏山にいるし、鹿にも会えるなんて、ますますディズニー映画っぽくなってきた。カリフォルニアだものね。

Deer

その先の分岐点で今度は左に折れて Peters Creek Trail に入る。くねくねとつづら折りの道の途中にはところどころ小川が流れている。シソみたいな葉っぱがあったので、触ったみたらトゲがあり、虫に刺されたみたいな痛みがあってしばらく腫れていた。知らない植物にうっかり触ったらだめね。あとから調べたらセイヨウイラクサ(Stinging Nettle)だった。こんな毒があるくせに、茹でると食用になるらしい。ハーブティーにして飲んだりもするんだって。

Stinging NettleStream

Course

今日歩いたコースを地図上に記してみた。4.7 mile (7.5 km)、2時間ちょっとくらい。半日ハイキングにはぴったりのコースでした。これからは花も咲き始めて良い季節かもしれない。

Author

Yuko Honda Morita (yukop) : yukop.com
飯能→東京→シリコンバレー。夫と猫2匹と暮らしてます。作ったり学んだり踊ったりするのが好き。
Born in Japan, living in California with my husband and two cats. "A bit of a geek and a bit of a geek fan and a bit of an artist." ->

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